まずルールから。3分3ラウンド。延長1ラウンド。引き分けなし。蹴り足のワンキャッチからのワンアタックあり。前日58kg計量、試合の3時間前に62kgリミットの計量有り。
まず具体的な展開は置いておいて体重について話すと、武尊選手は間違いなく体重に関してはベストのコンディションで出てきます。元々55キロでチャンピオンになった時点で成人超えてたんで骨格はそこから変わってない。その上で筋肉量を増やして今の階級のチャンピオンになった選手です。身長が168cmという事はボクシングや5ラウンドのキックボクシングでいうとだいたいフェザーくらいまでが日本人の骨格の適正の感じ。57キロくらいです。ただしkー1は3ラウンドなので短距離走です。そしてルール的にも無酸素運動色がより強いルールなので、筋肉量を増やして一気に走り切る事を考えると、最終的に60キロに落ち着いたのも分かります。
ここで話はそれますが、何故そもそも階級制のスポーツは減量をするのかという事を話すと、ベストの体を作るには上から下にが基本だからです。ボディビルやってる方は分かると思いますが、下から徐々に筋肉量だけを増やして体を作り上げるというのは相当難しい。時間がかかるし、ある一定のレベルから上のアスリートになると、体にそもそも無駄なものがないのでより難しい。というよりも無理。だから一旦脂肪を増やして、それを筋肉に変え、最後にまた余分に付いた脂肪と筋肉を削る。最後の仕上げですぐに排出できる水分を抜いて契約体重に合わせていく。これがベストの体を作るセオリーです。彫刻をイメージしてもらうと分かりやすいと思いますが、大きな石の塊を徐々に削っていって理想の形を具現化する、こんなイメージです。ただし石と違って人間には骨格の制限があるので削る量にも制限がある。そこの見極めが難しいところですね。どこがベストのパフォーマンスが出来る階級か。
話を武尊選手に戻すと、ここ数年の武尊選手は間違いなく60kgが適正でした。このレベルのアスリートならさすがにそこの見極めが出来ないはずがありません。間違いなく前日60kg計量の階級がベストです。そう判断したから数年間60kgでやってきたんだと思います。では今回の前日58kg計量当日62kg計量の条件ではベストの状態で出て来れないかというとそうではありません。今回この条件が決まってから試合までは半年という十分な期間があります。であれば元々の骨格を見ても、必ずこの一戦に限っては、前日58kg、当日62kg計量の条件で、過去最高の武尊を作ってくるはずです。戻しの4kgというのも武尊選手なら問題ありません。上から下に落とすなら、半年の時間があるなら、武尊選手の骨格なら、そして武尊というこの辺りの階級で世界最高レベルのアスリートなら、間違いなく当日ベストの状態で出てきます。それはSNSなどの状態を見ても明らかです。もうね、ぶりんぶりんに仕上げてる。マジで。まだこっから追い込むと思うけど今の時点ですでに相当やばい。体への長期のダメージを考えての60kgがベストという判断であってこの一戦だけの契約ならもう過去最高の武尊が観れると思います。ファンの方は期待して良いと思います。追い込み方と仕上がりの感じは2度目のタイトルを取った魔裟斗の時のようです。
では那須川選手はどうか、長くなったので次回はその辺を書いてみたいと思います。